本と向き合うこと [本]
日本に帰国してから通勤時間を利用しての読書時間が増え、それはそれでいいことだと思っていたのですが、忙しさにかまけて、その本を買い求める場所はほとんどネット上だったりするわけです。かつてのように、書店でじっくり時間をかけて本を探すということがなくなっていました。
先月亡くなられた、神戸六甲道の宇仁菅書店店主・宇仁菅民世さんに、
「それではあかんよ!」と叱られた思いです。
しっかり本と向き合わねば。
おなじみのこの包装、そして奥様みどりさんの達筆な添え書き。
「今日も探している本に出会えて、よかったですね」と、やさしく声をかけられたような気がします。
こうやっておいしいコーヒーを飲みながら、本のページを繰る幸せ。
ここ数年、忘れてしまっていたことです。
奥様みどりさんによると、書店の中に漂っている何かがわたしに声をかけたのだという本。
本を開いて、「あっ!」と心の中で叫びました。
ご主人、わたしはまだまだ勉強が足りないようです。
また今度どこかでお会いする時には、「鯉三くんもちょっとわかってきたな」と言ってもらえるよう、これからもたくさんの本と向き合っていきたいと思います。
梅乃宿蔵開き [本]
奈良の酒蔵・梅乃宿の蔵開きに行ってきました。
梅乃宿は普段からよく飲んでいる酒なので、この日を心待ちにしていました。
三杯は無料でしたが、もちろんそれだけでは足りず、300円のチケットをさらに買い足しました。
こちらはパター・ゴルフで景品をゲットするというもので、1回500円。従弟は一回目で見事純米大吟醸の四合瓶を当てました。これで調子にのって、二人で何回も挑戦して、結局高くついてしまったのは言うまでもありません。
楽しみにしていた蔵の見学も忘れて、飲み食いだけで時間が過ぎていきました。しかし、皆さんとても幸せそうに飲んでいて、はるばる奈良まで出かけた甲斐がありました。地元に帰って、またしても二人で飲み歩き、気がついたら布団の中に入っていました。途中で記憶が飛んでしまっているのは怖いことです。
幸い二日酔いにはなりませんでしたが、
「何をやってるんだ、自分は」と自己嫌悪におちいることしきり。
西村賢太の小説を初めて読んだ時は「なんだ、この最悪の男は!」と不快感を抱いたものですが、他の作品も読んでいくうちにすっかりはまってしまいました。最悪なのは、実は読んでいる側の自分なのだと気づいたからかもしれません。
芥川賞受賞作「苦役列車」はまだ読んでいませんが、本物の小説の書き手が現れたことを嬉しく思います。
晴耕雨読 [本]
台風の影響はなかったものの、この週末は雨が降り続けました。
雨の日は読書に限ります。
雨音がいいBGMになるからです。
日本へ帰ってからは電車通勤が当たり前になり、自然に読書の時間が増えました。
1日1時間本が読める生活は、本当に久しぶりです。
帰国してよかった。
今読んでいるのは三浦哲郎さんの短編集。
以前読んだ名作「忍ぶ川」には感動させられましたが、短編作品も実に味わい深いです。
夕立に洗われた並木の若葉が、点りはじめたネオンを宿して瞬いていた。
「あめあがり」最初の一行(『わくらば 短編集モザイクⅢ』より)
うまいなあ。こんなに簡潔に情景描写ができるなんて。
秋の夜長を楽しんでいます。
今夜も少し冷えるので、猫たちが布団に入ってくることでしょう。