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ブライアン・フェリー新作 [音楽]

ブライアン・フェリー、久々のオリジナル・アルバム『OLYMPIA』は快作だった。

アルバム発売前から、ジャケットをスーパー・モデルのケイト・モスが飾るという情報が流れ、フェリーさんの新作にかける意気込みのようなものを感じていた。

 

ferry.JPG

 

どちらかというと、このジャケットはロキシー・ミュージック名義のアルバムに向いているのかなと思うが、もはやロキシーのメンバーが揃って何か新しいものが作れるとは、一ファンとしても思えなくなっている。むしろ、円熟味を増したライブでの演奏の方に魅力を感じるし、バンドのメンバーもそちらを楽しんでいるように思えるのだ。

さて、新作『OLYMPIA』であるが、実は一聴した時は「あれっ?」という感じで、あまりピンとこなかった。しかし二回、三回と聴いているうちに、音の一つ一つが明瞭になってきて、アルバムに参加した豪華なミュージシャンの演奏がうねるように耳に飛び込んできた。

一曲目のYOU CAN DANCEはギターのリフがつまらなくて退屈だったのだが、曲が進むにつれて、一体何本のギターとベースが絡んでいるのだ!と、その音の数に驚いてしまった。

しかし、またあのボイスが...フランス語だかなんだかしらないが、曲の中にコラージュのように入れるあの話し声がわたしは好きになれない。『As Time Goes By』なんかにも入っていて、故今野雄二氏なんかも批判していたのに。たぶん、フェリーさんは好きなんだろうな、そんなのを曲の中にインサートするのが。そこが良くも悪くも美大出身で元々ノン・ミュージシャンであったフェリーさんの変わらないところなのだろう。

そんなことを思っていると、あろうことか一曲目と二曲目の間にまた“ポショポショポショ”とフランス語が!

もう、やめて!そんなのでお茶をにごすのは。

ところが、その後すぐに始まった二曲目のALPHAVILLEは素晴らしかった。ギターのリフがいかしてる。もうこれだけでこの曲は決まったようなものだ。誰が弾いているんだろう。レコーディング中に亡くなったというデビッド・ウィリアムズかな。きっとそうなんだろうな。マイケル・ジャクソンの曲でも抜群のリズム・ギターを弾いてたもんな。アルバム中、フェリーさんの歌声がもっともかすれている曲だが、そんなことをまったく問題にしない、かっこいい曲だった。

三曲目HEARTACHE BY NUMBERSのポジティブで明るい展開は、あの『AVALON』の楽曲を彷彿とさせるものだし、その後に続く曲もそれぞれ個性的でいいものばかりだった。六曲目はティム・バックリーのカバー曲SONG TO THE SIREN。フェリーさんは他人の曲を歌う時は本当に気持ちを込めて歌うなあと、改めて感心させられた。感動的ですらあった。

 

残業した帰り道にiPodで聴くと胸にしみます。

あまり美しくない西中島の街並みも、夜のネオンがにじみだして一瞬美しい景色に変わります。

 

フェリーさん、ありがとう。

しばらくはOLYMPIAを聴き込みます。

 

《追記 2010.11.17》

その後、US輸入版には『THE MAKING OF OLYMPIA』というDVDが付いていることを知り、早速アマゾンで購入しました。大変興味深いレコーディング風景、収録曲や参加したミュージシャンのことなど、いろいろ知ることができて嬉しかったです。

記事にしたことにいくつかの誤りがあったので、ここで訂正します。

>一曲目のYOU CAN DANCEはギターのリフがつまらなくて退屈だったのだが、

若きギタリスト、オリバー・トンプソンが弾くギター・リフは「モロッコ・ギター」と名づけられており、実際オリジナルのリフはとてもエキゾチックで魅力的なものでした。そのことを知ってから、YOU CAN DANCEという曲の印象も変わってきました。

 

>あろうことか一曲目と二曲目の間にまた“ポショポショポショ”とフランス語が!

フランス語ではなく、ロシア語でした。どうしてそう思い込んだのかというと、ALPHAVILLEはゴダールの映画作品名だったからです。

 

>誰が弾いているんだろう。レコーディング中に亡くなったというデビッド・ウィリアムズかな。

レコーディング中に亡くなったデビッド・ウィリアムズのギターのテイクは、NO FACE,NO NAME,NO NUMBERに収録されているそうです。フェリーさんがデビッド・ウィリアムズの死についてコメントしているところは泣けました。16年前のマムーナ・ツアー大阪公演で、彼の素晴らしいリズム・ギターが聴けたことは幸運でした。

以上。

 

Olympia

Olympia

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Astralwerks
  • 発売日: 2010/10/25
  • メディア: CD


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コメント 7

たいへー

ロキシー ミュージックのアヴァロンしか知りませんが、
あま~~い声の持ち主ですよね?
サウンドもまったりしてましたが、今もそうなのでしょうか?
by たいへー (2010-11-14 16:15) 

ぷーちゃん

円熟味があって、
ジャケットを含め、楽しめます。
勿論、You Can Danceの動画も♪
by ぷーちゃん (2010-11-20 23:34) 

鯉三

たいへーさん:
AVALONはロキシー・ミュージックの最高傑作と呼ばれていますが、
ロキシー解散後のブライアン・フェリーのソロはそれを超えるような作品を残しています。今回のアルバムも素晴らしいと思います。

ぷーちゃんさん:
はじめまして。コメントを残してくださってありがとうございます。
You can danceのPVは、いかにもフェリーさんという感じで雰囲気たっぷりですね。
by 鯉三 (2010-11-21 20:24) 

H.N

はじめまして。かなり昔の記事へのコメントで失礼致します。
このアルバム(実はつい最近聴いたのです)とメイキングビデオの感想を書いてらっしゃる記事を探しておりました。たしかにメイキングを見てからだと印象がかなり変わりますよね。
by H.N (2019-05-21 12:50) 

鯉三

H.Nさん:
コメントをいただき、ありがとうございます。実は先日車を運転している時にずいぶん久しぶりにOLYMPIAを聴いたところでした。その後メイキングもPCで見て、ナイル・ロジャースがブライアン・フェリーその人について感想を述べているのを新鮮に感じました。今年の2月か3月に東京と大阪でライブをやったようですね。
by 鯉三 (2019-06-09 17:01) 

H.N.

鯉三さま、こんばんは。
お返事をありがとうございました。
私、3月のブライアン・フェリー東京公演に参りました。
それまでロキシーしか聴いてこなかったので、予習として『オリンピア』『アヴァンモア』『ライブ・イン・リヨン(海外盤Blu-ray)』を購入して聴いてみたのです。
Blu-rayの特典映像として『メイキング・オブ・オリンピア』の45分版が収録されていて、感心しながら見ておりました。
特にギタリストのオリヴァー・トンプソン。若い上に(失礼ながら)実年齢より幼く見える容貌なのに、頭の回転の速さやギタリストとしてのセンスに吃驚してしまいました。

ところが、今回の来日にはトンプソンは同行しなかったのです。どうしたのでしょうね。
彼のギターでフェリー氏の歌を聴いてみたかったので残念でした(涙)
でも、コンサート自体はとても良かったですよ。

by H.N. (2019-06-16 01:22) 

鯉三

H.N.さん:
わたしもオリヴァー・トンプソンはビジュアル的にも美しいし、なによりギターの音がいいなと思って気に入っていました。しかし、今回のツアーのクリス・スペディングも超ベテランの素晴らしいギタリストですね。一度目撃しておきたかったです。あっ、まだチャンスはあるかもしれませんね。
by 鯉三 (2019-06-20 21:06) 

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